9月の二期会公演 さまよえるオランダ人

こんにちは。オペラの公演に向けたスケジュール調整、なかなか大変です。

私が所属する二期会の公演に出演するためには、1ヶ月半にわたり朝昼晩と不規則な練習スケジュールをこなす必要があり、調整が難しいです。

私は20代の頃は会社員でしたが、音楽家で学校の先生をされている方も多い中、都内で毎晩18時からのスケジュールならまだしも、朝昼晩関係ないスケジュールを1ヶ月半も確保できる方は、普段どんな生活をされているのだろうと、ふと考えたことももはや懐かしさを覚えます。

特に、2歳の子どもがいると、さらに大変です。

そんな中、お誘いいただいても出演をお断りせざるを得ないことが多かったのですが、今回は偶然が重なり久しぶりに合唱団の一人としてオペラに出演できることになりました。

演目は、ワーグナーの「さまよえるオランダ人」です。実は、大学生の時に初めて観たオペラが、無料のチケットで観に行ったこの作品でした。当時はオペラの予備知識がなく、字幕があっても集中できず、半分ほど寝てしまった記憶があります。何か不思議な縁を感じます🤭

それでは、この作品の概要をご紹介します。

「さまよえるオランダ人」(Der fliegende Holländer)は、リヒャルト・ワーグナーが作曲したオペラで、1843年に初演されました。ワーグナーの初期の傑作の一つであり、ロマン派オペラの重要な作品です。以下に概要を説明します:

1. 背景と概要

  • ジャンル:ロマン派オペラ(全3幕)
  • 台本:ワーグナー自身による(ドイツ語)
  • 初演:1843年1月2日、ドレスデン
  • 題材:北欧の伝説「さまよえるオランダ人」を基にしています。この伝説は、呪いによって永遠に海をさまよう船長の物語です。ワーグナーはこの物語を、自身の航海体験やハインリヒ・ハイネの小説から着想を得て創作しました。

2. あらすじ

物語はノルウェーの海岸を舞台に展開します。

  • 第一幕
    ノルウェーの船長ダーラントが嵐を避けて港に停泊します。そこで、幽霊船「さまよえるオランダ人」の船長(オランダ人)が現れます。彼は悪魔との契約により、7年に一度だけ上陸を許され、永遠の救済を得るには真実の愛を見つけなければなりません。ダーラントは自分の娘ゼンタをオランダ人に嫁がせることを提案します。
  • 第二幕
    ゼンタはオランダ人の伝説に魅了されており、彼を救う運命を感じています。彼女は恋人エリックの反対を押し切り、オランダ人に心を寄せます。
  • 第三幕
    エリックがゼンタに愛を訴えますが、彼女はオランダ人への忠誠を選びます。オランダ人はゼンタの決意を信じられず、船で去ろうとしますが、ゼンタは自ら海に身を投げ、彼への愛を証明します。この犠牲により、オランダ人の呪いは解け、二人の魂は天に昇ります。

3. 音楽的な特徴

  • ライトモティーフ:ワーグナーの特徴である「ライトモティーフ」(特定の人物やテーマを表す音楽的動機)が初めて明確に用いられた作品です。たとえば、オランダ人の暗い動機やゼンタの救済のテーマが印象的です。
  • 劇的なオーケストレーション:嵐の描写や海の情景を表現する力強いオーケストラが特徴。序曲は特に有名で、物語の雰囲気を象徴しています。
  • 連続性:従来のオペラのような明確なアリアやレチタティーヴォの区別が薄れ、音楽が途切れなく流れるスタイルを採用。

4. テーマと意味

  • 救済と犠牲:ゼンタの無私の愛による救済は、ワーグナーの後期作品にも見られるテーマです。
  • 運命と呪い:オランダ人の呪われた運命は、ワーグナーの哲学や人間の苦悩への関心を反映しています。
  • 海の象徴:海は自由と呪いの両方を象徴し、物語の神秘性を高めています。

5. 影響

  • このオペラはワーグナーのキャリアの転換点となり、彼の後の大作(「ニーベルングの指環」や「トリスタンとイゾルデ」)への道を開きました。
  • 幽霊船の伝説は、映画や文学(例:パイレーツ・オブ・カリビアン)にも影響を与えています。

6. おすすめポイント

  • 序曲:嵐の情景やオランダ人のテーマが凝縮された名曲。
  • ゼンタのバラード(第二幕):物語の鍵となる美しいアリアで、ゼンタの内面が表現されています。
  • 現代上演:メトロポリタン歌劇場やバイロイト音楽祭での公演が映像化されており、視覚的にも楽しめます。

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