日本人は「欠伸のような声」を出しづらい?
声を“開く”ための見えない心理の壁と、その先にある音域・響きの変化
合唱や声楽のレッスンをしていると、よくこんな場面に出会います。
「欠伸のように、声を出してみましょう」
そうお伝えしても、多くの方が
いつもの声、あるいは控えめな声のまま。
しかし、この“欠伸のような発声”こそが
クラシック声楽の基礎であり、響きの要でもあるのです。
今日は、声楽指導者として日々感じている
“日本人が欠伸のような声を出しづらい理由”と、
その先で得られる音域や声の変化について紹介します。
🎤 1. 日本人は「無防備な声」を出すのが苦手?
日本の文化では、
- 大きな声を控える
- 周囲と調和する
- 目立ちすぎないようにする
という価値観が深く根付いています。
欠伸のような声は、
言い換えると 素の声・本来の響きそのもの。
その“むき出し”の感覚に、
無意識にブレーキがかかるのは、むしろ自然なことなのです。
🎵 2. お手本通りでない声を出すことへの不安
「欠伸のように」と言われても、
- 正解がわからない
- 変な声になったら恥ずかしい
- 声が裏返るのが怖い
という不安が先に立つ方はとても多いもの。
しかし、この“変な声”こそが
本当は 響きのある声へ向かう入り口なんです。
🌬 3. 実は、日本語の発声習慣では欠伸の声が出しづらい
日本語は
- 口を大きく開かない
- 母音の響きが浅い
- 喉をあまり縦に使わない
という特徴があります。
そのため、
クラシック声楽が求める
喉が縦に広がり、息が深く流れ、響きが満ちる状態
—いわゆる“あくび喉”—
は日常生活で全く使わない動きになります。
できないのではなく、
ただ慣れていないだけなのです。
🌟 欠伸のような発声がもたらす「音域」と「響き」の変化
欠伸のような発声は、単なる準備ではありません。
実は、声が劇的に変わる重要な技術です。
✔ 喉頭が下がり、声道が縦に広がる
→ 音が太く・温かく・遠くへ飛ぶ
✔ 息が深く流れ、声帯への負担が減る
→ 高い音がラクに出るようになる
✔ 声道の空間が広がり、倍音が増える
→ クラシック的な“響く声”へ変化する
つまり、
欠伸のような発声の延長線上に、音域の拡大と響きの向上がある
ということです。
どんなに才能がある人でも、
この“喉の余裕”がないままでは声が伸びません。
逆に、初心者・シニアの方でも
この感覚さえつかめば、声は確実に変わります。
🎶 今日のレッスンでも起きた「声が開く瞬間」
まず力を抜きながら欠伸のような感覚で声を作る事が何より大切です。
- 声の輪郭が急に柔らかくなる
- 響きが鼻腔に入って広がる
- 高い音が出やすくなる
- 合唱では、音がふわっと混ぜる声に必要
ハモれている・いないは関係ありません。
大切なのは、
「自然に声が出た」
「響きが変わった気がする」
という 小さな変化の積み重ねです。
その積み重ねが最終的に
合唱の“ひとつの音”をつくります。
🌱 声を解放するには、技術よりも“安心できる場”が必要
声が変わるために必要なのは、
- 正しい呼吸と姿勢
- 喉の脱力
- 安全な響きの誘導
そして何より、
変な声になっても安心できる場 です。
フェリーチェで、そんな場を体験してみて下さいね